改めていま、石川竜一とは何者なのか。

アーバスから見える石川竜一。

トークではこのことについて、清水さんが2人に質問しました。

すると田附さんは「ダイアン・アーバス」の名を挙げました。もはや説明は不要なほど知られた写真家ですが、たしかに彼女もスクウェア・フォーマットを採用した写真家の一人。当時のアメリカでは市民権を得にくい立場にあった社会的少数者たちを写すことにのめり込んでいたアーバスでしたが、彼女の遺した写真からは、被写体となった人々の個性的ないでたちを強調するよりもなにか、別のものを提示しようという姿勢が感じられます

というのも、アーバスが写した人々はカメラのレンズを見ているというより、アーバスその人を覗いているように感じられるんですよね。これは言葉で説明するのが難しいところですが、一般的にフォトグラファーは〝カメラを介して被写体に接触する〟という構図のなかで撮影しますが、アーバスはじかに被写体に触れているかのよう。まるで、カメラの存在がふっと消えたなかで写されたかのような。

とまあ、田附さんはダイアン・アーバスの写真が気になったことから、スクウェア・フォーマットを使い始めたようです。

続いて石川竜一さんの理由というと、「そのとき自分に買えた一番高い機材がハッセルだったから」というものw。これを受け、会場からは笑い声も湧き起こり、緊張の一糸が緩んだひと時になりました。ようするに、カメラやフォーマットはあまり拘っていない、ということですね。トモ・コスガはトーク後、石川さんに色々と質問をぶつけてみましたが、基本的には感覚的な撮影をこなしている人のように感じられました。

しかしこれも2人展の醍醐味ですが、とりわけ田附さんの答えは今回の展示を振り返るうえでも大切なものだったように感じられます。奇しくも「アーバス」というキーワードは、石川竜一さんの写真を見るうえでひとつのヒントを与えてくれたからです。

ページ:
1

2

3 4 5

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。

ページ上部へ戻る