小学時代に神宮前の名物ホームレスから殴られた過去を持つ薄井一議は昭和時代の「視覚を奮い立たせる色」から我武者羅に生き抜く力を見出す。

鈴木その子、懐かしいですねw。白塗りのw。でも嬢たちの横に必ず座ってる店のおばちゃんとか、確かに近未来入ってますよね。それこそ鈴木その子というw。

んで、金色の招き猫が腕を上下に揺らしてるの。それこそ、視覚から奮い立たせる力っていうのはそのこと。でもその光景って、過去でもない気がして。だからブレードランナー感。近未来感というか。飛田新地を囲んだ塀の先には高層ビルがそびえ立ってる訳じゃないですか。その感じが面白いなと思った。

 

薄井一議『SHOWA88』より © Kazuyoshi Usui

薄井一議『Showa92』より © Kazuyoshi Usui

 

それを考えると、やっぱり街がスキマを失うことへの危機感でもあるのかも。飛田新地にしたって、「料亭で出会った女将と恋愛に発展しただけで、売春行為じゃないですよ」っていうタテマエがお上に通用し続けているから、今なお残っているわけで。この時代に残された、大きなスキマのひとつですよね。

 そうですね。

路地のスキマ。人々がたむろっていたスキマがどんどん埋め潰されていく。すると今度は、人と共有できるスペースがなくなっていく。コミュニティは解体されて、人々は点になっていく。薄井さんの『Showa88/昭和88年』シリーズには、点になりつつあるスキマを再びこじ開けて、その中を覗かせてくれるような感覚を覚えます。写真がすべてを語りすぎないから、観る側の人生や体験に重ね合わせながら「覗く」ことができる。

恐らくですけど、2020年の東京オリンピック開催でごろっと変わるじゃないですか。だから僕は、写真としてはオリンピックまでが勝負なのかなと思ってて。東京オリンピックまでにあと2冊は作りたいなって。そこで終わる「もうひとつの昭和」を描ききってみたいですね。

つまり薄井さんにとっては「Showa100」が、ひとつのゴールという訳ですね。

ですです。……てかそろそろさ、ゴールデン街に向かってもいい時間じゃない? さ、飲みに行こ行こ!

 

かくして向かった先では、偶然に偶然すぎる出会いが我々を待ち構えていました。そのお話はまた別の機会に。

薄井一議さんの写真集はいずれも「写々者」ホームページから購入可能です。
『Showa88/昭和88年』はもちろん、その続編にあたる『Showa92』も要チェック!
https://www.shashasha.co/jp/artist/kazuyoshi-usui

 

usui_san

薄井一議(うすい・かずよし)

1975年東京生まれ
1998年東京工芸大学芸術学部写真学科卒業
東京にて制作、活動

kazuyoshiusui.com

後日談。

この記事をきっかけに、とあるアートディレクターとのあいだで、
セルフポートレートで1冊作るべき!なる会話に発展した薄井さん。

そこで薄井さんが取り出したのは、この1枚。
果たして新作なのか、はたまた迷作か!?

物議を醸しかねないコチラを載せて、
このインタビューを終えよう……

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この記事の著者

トモ・コスガ

トモ・コスガ

1983年生まれ、編集者。フォトグラファー・新田桂一に師事後、VICE MAGAZINE JAPAN編集部、EYESCREAM編集部、VICE MEDIA JAPANを経て独立。現在は故・深瀬昌久の作品管理と普及を目的とする「深瀬昌久アーカイブス」ディレクターを務めながら、主に写真関連の記事を書いたり、家事をしたり、ジムでマッチョを夢見たり、クワガタを飼育・採集、と多岐にわたって活動中。

http://www.tomokosuga.com/

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