GUIネイティブ世代の小林健太はtumblrやフォトショ、『command』+『z』を駆使して世界と対話する。

ども!小林です。今回は、G/P Galleryで初個展を好評開催中の小林健太くんに話を聞いてきました。

小林くんさ、ローマ字表記では「Kenta Cobayashi」って表記してるみたいで。小林界の先輩としては、〝C〟obayashiって書くところが羨ましくて。ま、そんなことどうでもいいんだけど、近ごろ周りの人に「気になる人いる?」って聞くと、たいていの人が小林くんの名前を口にする。そんなに聞くようだと興味も湧く。

で。小林くんは〝デジタルネイティヴ世代〟って言われてるらしいんだけど、それがどういう意味なのか、いまいちピンと来てなくて。 作品は元々のイメージがかなり加工されてて、なんとか写真の形を留めてるっていうか。 おもしろいのは、完成形から垣間見える、元になった写真がちゃんと格好良く見えるってところ。

どんな感じで作ってるんだろ? ってことで、小林界の先輩である俺に注目されてる写真家、小林健太くんに会ってきました。

 

小林健太さん

小林健太さん

TSK:小林くん、初個展おめでとうございます!(自分も小林だから歯がゆいw)今回はG/P Galleryでの開催だけど、主宰の後藤繁雄さんとはいつから知り合いなの?

小林健太:「Newfave」の大山光平さんに紹介してもらったんすよ。後藤さんが定期的に開催している展覧会「THE EXPOSED」第7回のゲストキュレーターが大山光平さんで。そのときに紹介してもらいました。

 

へー、大山さんの方が先だったんだ? 大山さんとはいつから?

大学2年くらいの時に、東京造形大学でZINEを作るワークショップがあって。そのとき大山さんと横田大輔さんが来たんですけど、それをたまたま受講して。横田さんが世界的にバズる直前っていうか、たしかまだロン毛の頃。

そのとき2人は「ZINEドリームとかあったらいいよね」みたいな話してたんですけど。それに参加したのがきっかけですね。

※ZINEドリーム……個人で作成したZINEから出版や展示に発展し、世界的に注目を集める、的な〝ZINEから始まるサクセスストーリー〟のこと

 

個展「#photo」より

 

小林君は美術大学だよね?(オレは大学行ってないけどw

僕は絵画で入って。絵画の中に「広域表現」っていうのがあって。

講義はディスカッションメインでなんでもやれるコース。立体とかパフォーマンスとかいろいろ試しながら写真も始めました。

 

え、じゃあ絵にはのめり込まなかったの?

のめり込まなかったっていうより、色々なことを体験してみたくて。

小さい頃は模写するのが好きだったんですけど。靴や車を描いて喜ぶみたいな。

他の人よりは少し上手く描けるっていうか。それが取り柄くらいの程度なんですけど。

 

へー。実物そっくりに描けるなら写真で良くね?って、俺とかは思っちゃうんだけど。

予備校で絵習ってわかったのは、絵っていうのは〝見る訓練〟なんだなって。見る技術が上がれば上手く描けるらしいです。

そんなに上手くなる前に入学しちゃいましたけど。

 

いま何歳?

今年24ですね。草野庸子さんと同い年くらいですね。

 

じゃ、普通にデジカメとかあったよね?

そうですね。デジカメ、プリクラ。

産まれた時から、デジタル絵本や〝デジタルペイント〟がある世代ですね。

 

個展「#photo」より

 

デジタルペイントって、『マリオペイント』じゃなくて?

マリオペイントじゃないけど、まあそういうバイブスのヤツっす(笑)。

なんかこう、押すと音が出たり、絵が描けたりっていうの。そういうのは物心ついた時からありましたね。

 

パソコンは?

おじいちゃんとお父さんがAppleユーザーで。生まれた頃には家にMacintoshとかあったんでわりと早い時期から触ってました。その中に色々ソフトがあって。

最初は『キッドピクス』っていう子供用のお絵かきソフト。絵文字みたいなスタンプを貼付けると、それが動いたりする。絵本もデジタルでいろいろ触れて。

いま考えたらそれは特殊な体験っていうか、そこは世代感あるかもしれないですね。

 

そりゃデジタルネイティヴって言われるわ。そう言われることに対してどう思う?

別にそういう世代といっても、俺も含めて多くの人はプログラミングどころか、PCのセットアップすらできるわけじゃないんで。そういう意味では人それぞれだけど、敢えて言うなら自分たちは〝GUIネイティブ〟なんじゃないかって思ってて。

 

???(服?ブランド?

グラフィック・ユーザー・インターフェイス ネイティブ。Macintosh以前のパソコンって、コマンドを打ち込んでって感じだったらしいですけど、Macintoshにはフォルダがあってアイコンがあって。視覚的なインターフェイスがあった。そういうのに慣れてて、読み取り能力が高いんじゃないかなって。

新しい携帯持っても、画面を見たらなんとなく操作がわかるとか。ゲームとかも、初めてやっても直感的にわかるっていうか。グラフィックで表現された空間に身体が馴染むっていうか。

 

説明書読まないの?

そうそう。説明書とか読まなくても直感的に分かる。

「ここでこのボタン押すとこうなるだろ」みたいな、画面の中でなにがどう動くかがなんとなくわかる。

そういう意味ではデジタルネイティブ感あるかもなって思う。

 

カメラ持ったのっていつ?

んー。。。

 

個展「#photo」より

 

あ、携帯とかについてたから、特にカメラって意識はないのか。

そうなんですよ。気がついたら携帯で撮ってたみたいな感じだから、カメラを持ったって意識はないかもしれないですね。

うーん、あまり思い出せないですね。中学入ったらみんな携帯持ってるじゃないですか。そしたらカメラは入ってたし。

 

え?ポケベルは?

ポケベルは僕より前の世代ですね(笑)。

 

そういや、ちょっと話変わるけど、日本でも海外でも良いんだけど、自分と感覚が似てる人とか、注目してる人っている?

注目してるのはペトラ・コートライトっていう今年30になる映像作家。ステラ・マッカートニーとコラボしたりもしてるんすけど、インカメラのラフな自撮りにエフェクト加えてみたいな感じで。すげーいい。

 

この前、「TOKYO FRONTLINEっていうアートフェアでグランプリ獲得してたね。あれは応募したの? そういうコンテストには興味なさそうって、勝手に思ってたけど。

最初はあんまり興味なかったんですけど、今は自分の作品の流通を広めたいから、積極的にやっていきたいと思っていますね。

 

グランプリ獲って、なにか変わった?

今回の展示ができました!

 

そういやオープニングで後藤さんがずっと「腹立つ」って言ってたもんね。こんな褒め方があるのか?って思ったけどw

あれはすごく嬉しかったですね。

作品のセレクト、展示のこと、額装のこと。ずっと相談しながら作ってきたので、後藤さんとしても結構展示のイメージができていたと思うんですが、実際の展示で後藤さんを良い意味で裏切れたんだったらうれしいです。

 

個展「#photo」より

 

小林くんの作品って、写真に手を加えてるでしょ。元の写真は自分が撮ったものなの?

そうです。今のところは全部自分の作品です。

 

例えばだけどさ、他人の写真を使っても自分の作品になっちゃう?

その辺は今、検討中っす。

 

じゃあさ、過去の名作を使って作っても自分の作品になると思う?

それはそう思うんですが、ペインター的な思考かなって思います。

作品としてはアリだと思います。今津 景さんがやってるみたいに。

ART-FABRIQUEってInstagramのアカウントが、インスタに投稿された写真を加工してますね。

もっと前ならマイケル・マジェラスとか。自分はとりあえず、撮ったものから出発することを大事にしてます。

 

 

ちょっと気になっただけだから、答えたくなければいいんだけど。

行為をバインドしたいんすよね。撮る行為と、編集する行為を重ね合わせたい。

 

なるほど。そこが地続きだから自分で撮るんだ?

そうですね。地続きだから、写真のおもしろさがあるっていうか。

 

今回のステートメントで、tumblrで自分が写真的だと思ったものには「#photo」とつけてアップしてたって書いてたよね。それをつけなかったものはどんな写真だったの?

例えばタグをつけなかったものに、一時期イラレの練習で、毎日ひとつアイコンを作っていたのがあって。

カラーパレットで色を選んで、形を作って完成。そういうのは写真じゃないなって。カラーパレットでどの色にしようかな?って選んで始めたらそれはペイントかなって。

いまのところ、それは写真じゃないと思ってます。

 

じゃ、小林君にとって写真ってなんだろ?(って話に無理矢理持ってったけど。)

自分の外側にある世界から取ってくるっていうか。外側にあるものとコミュニケーションするのが大事だと思うんです。

もし絵画と写真を自分の中で定義づけるなら、かなり素朴な感じですけど、絵画は〝インナースペースから外へ〟って感じ。写真はなんかこう外からここまで、内側までは到達しないんだけど、外から手元くらいまで持ってくる感じ。

シェアハウスやコラボレーションは写真っぽいなあって思います。こうやって今話してるのもそうなんですけど。外の世界、たとえば自分じゃない他の人とコミュニケーションしてなにかが生まれるっていうのって写真的だなって。

 

ふーん。いま、写真家って呼ばれてる?

呼ばれてるっていうか、写真家って名乗ってます。

アーティストっていう方がシンプルかもしれないけど、写真家と名乗った方がオモロいかなって。

 

写真家とアーティストって? 俺はどっちでも良いかな?って思ってるけど。

むしろ「アートが写真だ」って言ってみたり、そんぐらいの方が面白いんじゃないですかね。よくわかんないけど。

アートって、底なし沼のようになんでもかんでも飲み込んじゃうじゃないですか。

なんでもありだから、輪郭もあるようでない。

だったら写真って輪郭をベースに、色んなものを解釈していった方が面白いかなーと。

 

個展「#photo」より

 

自分の立ち位置として、写真家って輪郭があった方が表現しやすいってこと?

そうっすね。写真ってなんだろうっていうのを出発点に色々考えてみたいんですよ。

 

写真を本格的に始めたのって、写真家の石田祐規さんに影響されてからだっけ?

はい。それまで写真って、見方がよくわからなくて興味もなくて。

高校のときに美術館とか行っても、絵画と比べても全然わからなかった。

高3の夏休みに初めて渋家に行ったら、祐規が自分の写真見せてくれて。

舞台となってる渋家自体も現代アートだし、これは面白いなって。

 

俺も分かってないけど。

祐規から、ライアン・マッギンレーやレン・ハンとか教えてもらって。それで『現代写真論』とか読んだりして、さらに色んな写真のあり方があるんだなってのがわかってきて。ルフとかおもろいみたいな。それでハマっていきました。

 

撮り始めてから見方変わった?

カメラってメカっぽくてかっこいいっすよね。絵画は木と毛でできた棒だけど。その違いって作品にどう出てくるのかなって思います。

 

作品を作り始めてどれくらい?

大学入る前から写真面白いなと思ってたけど、しばらくどうやって始めたら良いかわからなかったんですよね。

一眼カメラとか買うのも高いし、面倒だしって思ってて。2013年に渋家に入ってから被写体も増えて、友達がくれてカメラも手に入って。そのくらいから頻繁にブログに写真上げるようになりました。

そういや初めて携帯以外のカメラ持ったのって、予備校で絵を描いてた頃、描きかけの絵を記録する為にコンデジ買ったのが初かもしれないです。絵って3日間とかで1枚を描くんですけど、その過程を写真で記録してた。

 

その頃の写真って作品に使ってる? それとも使ってるのは最近の写真なの?

今回の作品には使ってないですね。今回のはほとんど去年とか最近の写真です。

 

今回の作品で『Dennys』の看板の作品があったと思うんだけど、あれは狙って作ってるの?

狙ってる訳じゃないけど、撮る時に絵画的な構図が無意識に反映されてるのかもしれないですね。ただ、それを崩してくのが面白いかなって思ってます。

 

完成ってどこで決めるの? 永遠にできそうじゃん?

まず、操作が大きく二つのタイプに分かれるんですけど。

ひとつは指先ツールとか、画像に触れて変形させる系の接触系のツール。

もう一つが、フィルターをかけまくる、あぶり出し的な非接触系ツールで。

どっちでやったら面白いかな?ってところから始めます。

 

個展「#photo」より

 

作る上で偶然性ってどれくらいあるの?? ある程度、最終形が分かってやってるの?

指先ツールに関しては、濃度や強さのパーセンテージを決められるんですけど。そういうのを細かくいじっているので、流度というか、段々混ざっていく。それから自分の速度と処理速度にラグがあって。ある程度はわかりますけど、コントロールしてない部分はありますね。あと、あぶり出し系の場合、どんな模様が出てくるかは写真によって決まってくるんで、想像つかないです。

撮る時も作ってる時も、なにかが見えてて〝表現したい〟っていうわけじゃなくって。コミュニケーションみたいな。撮る時は世界とのコミュケーション。作ってる時は写真とのコミュニケーション。じゃあ写真とのコミュニケーションってなにかといったら、テクノロジーとのコミュニケーションかなと思ってて。

 

へー。

人って、棍棒を持ってた時代からテクノロジーを媒体として世界と接してたと思うんですよ。それによって世界を見ていたというか、それがないと世界が見えないっていうか。

写真って、そういうのがあるひとつの段階に達した、象徴的なテクノロジーじゃないかと思ってて。自分の目に見えてるものと似たようなものが出力されて、自分が見てるものが、みんなにも見えてるんじゃないかって錯覚を起こすような。

 

完成はその対話が終わったらってこと?

接触系のツールって、ずっとやってると会話と同じで。

同じことやってると返ってこなくなるのかもしれないですね。

 

『command』+『z』で戻ったりするの?

けっこうしますよ。狙い過ぎてっていうか、会話に近いのかもしれないけど、こうやって喋ってても、終着点は見えてないかもしれなけど、違うなと思ったら「ちょっと待って下さい」って戻ったりするじゃないですか?

 

本当に対話なんだ。どこかのタイミングで感じるもんなの?

やり過ぎてると、こっちばっかり一方的に喋ってるっていうか。「あ、キャッチボール出来てない」みたいな。

 

被写体と対話するのと近い感じ?

もしかしたら近いのかもしんないですね。撮るときそんなに被写体と喋らないですけど。

 

会話ってことだと、一切なんも手を加えずに純粋にスナップだけで完成、ってのもありうるの?

そうですね。結局どこかに留める必要がないから。絵画と違って写真は複製ができるし。

オリジナルにこだわりは無いので、バリエーション増えた方が面白いと思います。

いろんな対話があったとして、どれかひとつだけが正しい事言ってるってわけでもないと思うんですよ。

 

最終形はなんなの? 額装なのか、デジタルなのか。はたまた、本の形なのか。

そこは主体を人間に置かないで、写真に置いた方がいいんじゃないかなと思ってるんすよね。

写真は、自分がなりたい姿にいくらでも変わっていくので。

人が観る時にどの姿か、っていうのは一時的なものに過ぎない。

だから、そこは写真に任せたい。

写真は人間よりずっと早くて、今はネットを経由をしてかなりの速度で移動し、増殖する。

僕はそれに乗っけてもらいたくって。あるいは人はその断面を観て世界を感じるっていうか。

 

そっか、そこに自分の意思みたいなのはないのか。

そうですね。写真が勝手にというか、色んな人の手やシステムを経由するので。

それはカメラで撮った瞬間に始まってて、今はもう一瞬でネットに載って広がって。

印刷されたりもして変化して増えてって。それが写真の一番ヤバいところだなって。

 

お金があったら、今一番やってみたいことって?

そうですね。。。

 

あ、でもアイデアを盗まれたら困るから、言える範囲で。

じゃ、秘密にしときたいことは言わないけど、いま展示で見せてる映像を展開させたいですね。

もっと沢山のモニタでギャラリーを埋め尽くしたり。バカでかい画面でとか。

 

じゃ、写真だけじゃなくて映像とかも?

僕、エドワード・マイブリッジが好きで。

 

ん?(マルコビッチの穴??)

馬の連続写真の。

 

あー、Animal Locomotionの。

そうそう。あいつが、自分の中で一番写真の速度感に取り憑かれちゃった人間だなって思ってて(笑)。

撮ったら写るっていうそのヤバさに持ってかれまくって、撮りまくるみたいな。それはもう個人としての反応っていうより、人間としての反応っていうか。

彼は、金持ちの賭けの対象としてあの作品を作らされたらしいですけど、おかげで動物の動き方の認識が変わって。そうこうしてるうちに奥さんを寝取られて、その間男を殺したり(笑)、写真とかテクノロジーの呪いが詰まってるっていうか。

 

あの人が好きだったら、映像に興味あるのは分かる気がする。

そうですね。写真っていうのは簡単に動くし。だからあの映像作品を発展させてみたいなあって思ってますね。

他には、さっき軽く話した〝あぶり出し系のエフェクト〟ってでかければでかいほど細かい模様が出るんで。処理速度の速いPCとかで何十メートル、何百メートルとかの作品とか作ったら、メチャクチャヤバいスーパートリップ空間が出来上がるんじゃないかなってワクワクしますね。

 

その後も話は尽きる事なく、色々話を聞いてたんだけど、ビールをお代わりとかしてたら、だんだん俺がなに喋ってるのかわかんなくなって、いつの間にか録音も止めてた。

インタビューが終わってから、もっと色々聞いてみりゃ良かったなあと後悔したりしてましたけど、個展最終日の1日前にあたる3月26日(土)16:00からトークイベントがあるそうですよ! 登壇者は小林健太さん、荒川徹さん、飯岡陸さん、大山光平さんの4名、そして後藤繁雄さんがモデレーター。もっともっと面白い話が聞けるかも。

要予約だけど、参加費無料ってことです。俺も聞きに行かなきゃ!って思ってます。

 

トークイベント

小林健太 x 荒川徹 x 飯岡陸 x 大山光平トークイベント

日時:2016年3月26日(土)16:00-17:30
会場:G/P gallery 恵比寿(東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F)
出演:小林健太、荒川徹、飯岡陸、大山光平
モデレーター:後藤繁雄(G/P gallery ディレクター)
座席:25席
参加費:無料

詳細ページはこちら http://gptokyo.jp/archives/2836

 

KentaCobayashi_GP

 

statement2

[G/P gallery ] 小林健太 Kenta Cobayashi “#photo”

さなぎは芋虫のころの記憶を引き継ぎ蝶になる自分を夢見るんだろうか。

気付いたら宇宙がはじまっていていつか冷めて終わる。AからBへ、僕たちはこの世界の長い変態の途中に生まれ、羽化を待たずに意識が途絶える。ここは液状化したさなぎの中身が見る夢みたいに無目的でデタラメな空間で、光より速く膨張し散失しようとしている。

僕は2011年からブログで写真を公開してきた。僕が写真だと思うものはすべて「#photo」タグを付けられアップロードされる。それは一瞬で複製され変換され参照され地球のどこかへ漂着し、そこで今でも蠢いている。誰かのTumblrやInstagram、パブリッシャーやギャラリー、あるいはもっと想像のつかないところできっと。

僕の写真は移行のプロセス/あるいは移行によってもたらされる結果だ。交流と変態を繰り返し増殖し移動するものだ。ネットに登録された写真がサイズや拡張子を変え繁殖するように、指の移動によって書き換えられ無数に変化する。展示やコラボレーションを機会に新たな形態が模索され、僕自身も写真に牽引されるように場所を変える。カメラはそれに付随するプラットフォームとして新たな子種を宿す。

繰り返し増殖し変形したそれぞれが接続し合い回路のようなものを形作っていく。他の理屈で動く回路に接続されさらに拡がっていく。全体図がなにを描くかは誰も知らないが、だから作っている。それは最後に蝶の神経として残るんだろうか、それともきまぐれに終わる一時の現象なんだろうか。いずれにせよ僕たちはどこかにたどり着き続ける。遊びのように無意味かつ必死に。

 

info

小林健太 「#photo」

会期:2016年2月27日(土)- 3月27日(日)12:00-20:00 月休

会場:G/P gallery 恵比寿(渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F TEL: 03-5422-9331)

関連企画:小林健太トークイベント

日時:2016年3月26日(土)16:00-17:30 (要予約)

出演:小林健太、荒川徹、飯岡陸、大山光平

モデレーター:後藤繁雄

 

小林健太

1992年神奈川県生まれ。2015年東京造形大学卒業。東京で同世代のアーティストらと共同生活を送りながら、そこで撮影した写真を編集しブログに掲載している。巨大なZINEを様々なアーティストとコラボレーションして制作するMMGGZZNNプロジェクト主宰。主なグループ展に「trans-tokyo / trans-photo」集美xアルル国際フォトフェスティバル(廈門、中国、2015年)、「The Devil May Care」(Noorderlicht Photogallery、フローニンゲン、オランダ、2015年)、「hyper-materiality on photo」(G/P gallery Shinonome、東京、2015)、「New Japanese Photography」(DOOMED GALLERY、ロンドン、2015)、「The Exposed #7」(G/P gallery Shinonome、東京、2014)など。キュレーションを手がけた展覧会に「PICTURE-PARTY 2」(TAV Gallery、東京、2014)、「MEGA MAX GIGA GREAT ZERO ZILLION NEBULA NOVA」 (TANA Gallery Bookshelf、東京、2013)など。

http://kentacobayashi.com/

 

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