1万年前の記憶を1万年後の人類に託すため、ケロッピー前田と大島托は縄文文様にタトゥーの潜像を見る。

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つまりモダン・プリミティブのさらに進化版、ってことでしょうか。太古を想像しながら生み出したものを、さらに未来に提示しようと。

そうですね。例えば僕自身の体験として、都内の博物館とかで縄文土器だけが整然と並べられた光景を見ても、ただ単に古いものとしてしか見ることができなかった。だけど実際に縄文遺跡を訪れて、発掘現場にやってきて、ここの、この場所から出てきた!っていうのを見るわけじゃないですか。

それから遺跡近くには、出土品を展示した資料館なんかがあるじゃないですか。そこでは土器のほかにも、骨の針や棒、あるいは石といった用途不明なものもたくさん飾られている。それも現場に行くと、全部が見えるんですよ。すると今度は、1万年前のものが全然古くないように見えるようになっちゃった(笑)。

展示会場では縄文タトゥーの施術風景が映像で見られます

展示会場では縄文タトゥーの施術風景が映像で見られます

きちんと整理された状態じゃなく、それがかつてあった場所からゴロッと一緒くたになって出てくる場面を目の当たりにすることで、なにかケロッピーさんのなかで新たに理解できたものがあったと。

そうそうそうそう! ただ、そこに住んでいた人だけが失われていて。場所があって、そこから出てきたものを見て、そのうえでこの文様を見てという。

たとえば貝塚も、漠然とした従来のイメージでは〝ゴミ捨て場〟と言われたりしますよね。でも実際に訪れてみると、とても美しい場なんです。例えば、これが聖なる場だって言われたら納得してしまうだけの説得力が現場にはあって。ゴミを捨てただけじゃなくて、ここに埋めればいつか生き返ると。人骨も埋められていたんですよね。

そういう発想から見れば、1万年後は分からない未来ですけど、おーい!って声をかければ届くような気がするし。1万年前のものを1万年後に伝えるっていう視点からやると、僕らすごく自由で。僕らは1万年前のものからなにかをもらうわけですよ、さっきの〝効き目〟みたいなものを。

スケールある話ですね。そういう考え方、いいなぁ!

縄文タトゥーを蘇らせることで、人類史と日本をもっと繋げたいとも思っていて。1万年前にこの地にいた人たちとタトゥーを通じて繋がることによって、タトゥーを通した人類史における日本の役割も大きく変わってくる。

人類最古のミイラ「アイスマン」がタトゥーをしていたように、人類がグレート・ジャーニーによって世界に広がっていったとき、彼らはすでにタトゥーをしていたかもしれない。つまり、タトゥーを通じて人類史を見ることから、人類の移動や文化の伝搬など、色んなものが関連したものとして見えてくる。

世間的には、タトゥーがそれだけ人類学的価値を秘めているなんて、露ほどにも想像しないでしょうね。それは知ってもらいたい!

そうなると面白いですよね。僕たちのメッセージはもっと未来にも気持ちを振り向けてやっている。だからそういう風に見てもらえると、もっと柔軟に捉えられると思うんですよ。あ、じゃあやってみようかな!って。俺の身体に彫ったタトゥーが1万年後に発掘されたらどうしよう!とかね(笑)。

 

タトゥーアーティストの大島托さんとケロッピー前田さんによる縄文タトゥー復興プロジェクト『縄文族 JOMON TRIBE』の展示が、9月16日から開始されています。27日までだから、気になったらすぐに向かおう。JR阿佐ヶ谷駅の北口を徒歩数分のギャラリー、TAV GALLERYにて開催中。

 

CRAZY TRIP』
今を生き抜くための“最果て”世界の旅
ケロッピー前田・著

ケロッピー前田さんによる新刊『クレイジートリップ CRAZY TRIP 今を生き抜くための“最果て”世界の旅』(三才ブックス)は絶賛発売中。タトゥー以外にも、トレパネーション、バーニングマン、アルコー延命財団、ハッカーの祭典などなど、ケロッピーさんが自らの手と足を使って世界中を取材された独自記事が目白押し。オススメです!

 

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大島托×ケロッピー前田『縄文族 JOMON TRIBE

『縄文族』とは、タトゥーアーティストの大島托とフォトグラファーのケロッピー前田によるアートプロジェクトである。このプロジェクトは縄文の文様を抽出し現代的なタトゥーデザインとして身体に刻むことで、人類の原始的な精神が21世紀を生き抜くためのアイデンティティとなり得ることを示している。これは日本における「モダン・プリミティブズ(現代の原始人)」の実践である。

期間 2016年9月16日(金)〜9月27日(火)
会場 東京都 阿佐ヶ谷 TAV GALLERY
時間 13:00~20:00
休廊日 9月20日、9月21日
料金 無料
 公式ウェブサイト http://tavgallery.com/jomontribe/ 
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この記事の著者

トモ・コスガ

トモ・コスガ

1983年生まれ、編集者。フォトグラファー・新田桂一に師事後、VICE MAGAZINE JAPAN編集部、EYESCREAM編集部、VICE MEDIA JAPANを経て独立。現在は故・深瀬昌久の作品管理と普及を目的とする「深瀬昌久アーカイブス」ディレクターを務めながら、主に写真関連の記事を書いたり、家事をしたり、ジムでマッチョを夢見たり、クワガタを飼育・採集、と多岐にわたって活動中。

http://www.tomokosuga.com/

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