東北と沖縄が交差する。田附勝と石川竜一の2人展。

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おもしろそうな展示が始まりますね。東北の現在を撮り続けている田附勝さんと、沖縄の現在を撮り続けている石川竜一さんによる2人展ですって。この2人、良い意味で意外な組み合わせですよね。耳に挟んだとき、いい企画だなと思いました。

自らの手と足で1枚1枚をフィルムに刻んでいく写真行為においては、一人の写真家に到達できることって限られていると思います。そこにおいて、こうした形で、一人以上の写真家の写真が交差することによって生まれるものは有意義だと思うんです。たとえば今回のように、東北と沖縄を撮り収めようと思ったら、物理的な距離だけでも相当だけれど、それぞれのフィールドをその眼で見つめてきた二人を呼べば、そこから立ち現れるものって、一人での展覧会では伝えきれないもの。

写真にはいまの時代にあるものしか写らないし、素っ気なく言ったら、目に見えないもの以外は写らない。だから写真家は現在の土地や人々に向き合わなければならないけれど、その対話に時間をかけるうち、なにか点だったものを繋ぎ始めて、それが線になったとき、過去・現在・未来を内包し始めるような気がします。とりわけ田附さんの写真では、たとえば「魚人」を現地の人々が観たとき、そこに彼らの先祖の記憶や血に訴えかけるものが潜んでいるような気がしています。石川さんの写真は、沖縄の現在への関心がまだまだ強くて、でもそれが今の彼にとって興味のあることなんだろうな、とも。9月中旬に赤々舎から刊行される予定の『okinawan portraits 2012-2016』も楽しみですね。

日本の東北と沖縄、そして日本の過去と現在、さらに未来は二人の写真からどのように感じられるのでしょうか。スケールの大きな展示を期待したいですね。楽しみです。9月7日から。伊藤忠青山アートスクエアにて。ちなみに、明日発売のBRUTUS『365日、サンドイッチ。』号に2人の対談が掲載されてるみたい。要チェックですね。

   

田附勝・石川竜一写真展「東北・沖縄」
http://www.itochu-artsquare.jp/exhibition/2016/photography0907.html
主催
伊藤忠商事株式会社
企画
清水穣
会期
2016年9月7日(水)~9月19日(月) 会期中無休
開催時間
11:00~19:00
会場
伊藤忠青山アートスクエア
(東京都港区北青山2丁目3-1シーアイプラザB1F)
入場料
無料

写真評論家 清水穣のキュレーションによる、日本の現代アートを牽引する次世代のアーティストの作品展を2回に分けて開催します。 第一回は、木村伊兵衛写真賞を受賞して現在注目されている新進気鋭の写真家2名による、「東北」と「沖縄」をテーマとした写真展です。 田附勝氏(第37回木村伊兵衛写真賞受賞)は、震災前の2006年から東北地方に通い続け、現地の人々と語らいながら、シャッターを切り続けてきました。 石川竜一氏(第40回木村伊兵衛写真賞受賞)は沖縄で生まれ育ち、沖縄の現在をありのままに生きる人々の姿にカメラを向けてきました。被写体である人びととの出会いを重視し、その人びとの話に耳を傾け、共に生活をし、経験を共有することで撮られた両名の写真は、ただ美しいだけではない迫力があります。 日本の次世代の現代アートを担うそれぞれの写真家が抉り出すようにして活写した東北と沖縄の姿を、2016年の今こそぜひご高覧下さい。

 

この記事の著者

トモ・コスガ

トモ・コスガ

1983年生まれ、編集者。フォトグラファー・新田桂一に師事後、VICE MAGAZINE JAPAN編集部、EYESCREAM編集部、VICE MEDIA JAPANを経て独立。現在は故・深瀬昌久の作品管理と普及を目的とする「深瀬昌久アーカイブス」ディレクターを務めながら、主に写真関連の記事を書いたり、家事をしたり、ジムでマッチョを夢見たり、クワガタを飼育・採集、と多岐にわたって活動中。

http://www.tomokosuga.com/

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