野村 浩『Invisible Ink』

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「青い魔法のインク」の異名を持つInvisible Ink(インビジブルインク)は、イギリス Argleton に住む William Louis が、銀塩の技術が衰退し、デジタル化が進む今日に、写真の魔法を取り戻すことを願って再製品化したインクです。

information

野村浩 展『Invisible Ink』
会場:POETIC SCAPE
東京都目黒区中目黒4-4-10 1F
2015年12月16日(水)
~2016年2月6日(土)

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年末からずっと気になっていて、ようやく行けた展示。

「青い魔法のインク」の異名を持つInvisible Ink(インビジブルインク)は、イギリス Argleton に住む William Louis が、銀塩の技術が衰退し、デジタル化が進む今日に、写真の魔法を取り戻すことを願って再製品化したインクです。

Poetic Scape 展覧会リリースより抜粋

前評判から、決して素直に見てはいけないといった印象を受けていた展示、というのもなんだかおかしな話だが。なんでも特殊なインクを用いて構成した展示らしい。

モチーフは、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの自画像など。 サイアノタイプと呼ばれる技法により、ブルーの濃淡で画が描がかれる。サイアノタイプそのものは、極端な見た目とオシャレな雰囲気もあって、一時期はやった技法である。それを野村さんは逆手にとって、自分の世界観に引き込んだ。

画の人物はぼけていて、なんだかよく分からない。 いくつかは、辛うじてゴッホかなと思うものの、いまいち自信がもてない。それに、冷めた青はどうもゴッホに似つかわしくない。かけはなれたゴッホ像から、この不確かな人物との「にらめっこ」が始まる。

眺めているうち、杉本博司『建築』のことを思い返していた。 焦点を無限遠の2倍にして撮影することから、ディテールは吹き飛び、建築家が初めに構想したフォルムが露わになる、という作品。『インビジブル・インク』にも共通したことのように思えた。

えてして、物事はそのものを見ようとしないほうが、よく見えることがある。ほら、暗闇のなかでなにかを見つめたとき、黒目には映らないことがあるじゃない。でもなぜか白目では見えたりするんだよね。インビジブル・インクってタイトルも、その辺にかかるのかしら。

ゴッホの絵って、あまりにもゴッホすぎるじゃない。
美術館で見かけても、ああゴッホね、はいはいゴッホゴッホ、もう分かりましたよといった案配で、よく観たつもりでも、実はぜんぜん印象に残っていないことも少なくない。

野村さんの「ブルーゴッホ」を通じて、あれ?これゴッホ?ううーん、と疑いながら眺めていると、それまでの「ゴッホ」という「器」から、ようやく「ゴッホさん」に会える。やあゴッホさん、ここにいたんですね。

ゴッホってさ、なんであんなに困り顔の自画像なのに、あれだけ陽気なタッチとカラーなんだろうね。ブルーゴッホのほうがよっぽど、ゴッホらしいのかも。

様々な仕掛けについては、Poetic Scapeにて、野村さん本人から話を聞くとおもしろいです。野村さんの笑顔とクラッシャーぶりのギャップが、最高に素敵な展示。

会場では同作品の作品集が販売中。特に「ブルーゴッホ」プリントが同封された特装版、オススメです。

この記事の著者

トモ・コスガ

トモ・コスガ

1983年生まれ、編集者。フォトグラファー・新田桂一に師事後、VICE MAGAZINE JAPAN編集部、EYESCREAM編集部、VICE MEDIA JAPANを経て独立。現在は故・深瀬昌久の作品管理と普及を目的とする「深瀬昌久アーカイブス」ディレクターを務めながら、主に写真関連の記事を書いたり、家事をしたり、ジムでマッチョを夢見たり、クワガタを飼育・採集、と多岐にわたって活動中。

http://www.tomokosuga.com/

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