漫画でいうと第2話くらいで写真新世紀の優秀賞にノミネートされた草野庸子は家族写真的な瞬間を切り取って真空パックする。

yoko

2014年度写真新世紀で佐内正史選で優秀賞を受賞した草野庸子さんが展示をやるって事なので、って人に聞いたみたいに書き始めたけど、今回の展示は俺ことflotsam booksが今回の展示場所を紹介したような気がしないでもないので、行ってきました。

草野庸子さんの写真集はflotsam booksでもとても人気がある。写真集『UNTITLED』は草野さんが「3年前に福島から上京してきて、この3年間で楽しいことや悲しいことがあったときに撮りためてきたもの」をまとめた作品集。

それをベースに新作を含め、少し変わったギャラリー空間に大小さまざまな作品が並んでいる。それは草野さんが遊んだ空気や場面を追体験できるようでもあり、また場所や展示箇所に合わせて、半透明の用紙に印刷された作品や、ポスターのようにぶら下がった作品など額に入れて展示されているのとは全然違う空気感があって面白い。

俺の周りにはこんな世界はなかったけど、こういう人たちが確かに俺の時代にもいたんだろうなっていうのは容易に想像できるし、もっと前にもいただろう。綿々と続く若者たちの響宴は世代を超えて、時代を超えて連なっていくだろうけど、草野庸子さんの周りのこの人たちがまた面白い世界を創造していくのを想像して楽しんだ。

 

 

TSK:写真をはじめたきっかけから聞いて良い?(さんざん聞かれてんじゃね?)

草野庸子:震災があった次の年に東京に出てきたんですけど。

 

震災の時まだ高校生だったの?(直ぐ話の腰を折るスタイル)

はい。震災が起きて、私の家族は大丈夫だったんだけど、周りには結構震災で大変な人も沢山いて、こりゃ、なにやりたいかわかんないけど、マジでいつか死ぬな。って思って。東京には行きたいって思ってて。最初は桑沢デザインに…

 

え? 高校の時は写真撮ってなかったの?(話の途中なのに)

高校の時は撮ってなかったですね。

 

草野庸子 個展『Fine』より

草野庸子 個展『Fine』より

 

趣味でも?(あ、作品としてではなくって意味か。質問者なのに質問の意味がわかんない)

趣味でもほとんど撮ってなかったですね。東京に出てきて、桑沢デザインに入ったんですけど、全然デザインに向いてないなって入ってすぐに気がついて。周りは結構できる子が多くて。。わたし卒業までどうしよう? って思って。

一人暮らし始めて、周りにあんま知り合いも居ないなかで、自分で友達の輪を広げていくじゃないですか? 誰々の友達とか、少しずつ。そういう次々出会ってくってのが、あんま、いわき(市)では無くて。それってすごい楽しいけど、どっかと疎遠になるとその人と会えなくなる。

東京ってそういうことってすごい多いじゃないですか? 今すごい楽しいとか、楽しかった事は憶えてるんだけど、すぐに忘れていっちゃうなあって思ってて。最初はそういうのを記録としてっていうか、思い出として残しておきたいなあって思って、みんなで遊んでたりって時に、『写るんです』を買って、それでパシャパシャ撮ってて、たまに現像出しにいってって感じだったんですけど。

 

草野庸子 個展『Fine』より

草野庸子 個展『Fine』より

 

え?『写るんです』? デジカメとかじゃなく?(昭和かよ?)

わたし、酔っぱらうとモノ壊すんですよ(笑)。落とすし、壊すし、酒こぼすし。一眼レフとか無理でしょ?

最初はフィルムが良いからとかそういう事じゃなくて、そういう理由で写るんですで撮ってたんですけど、フィルムって面白いなあって思い始めて。現像まで時間掛かるし、撮ったものわかんないし。

で、おじいちゃんに「最近フィルムで撮ってるんだ」って言ったら、おじいちゃんが昔趣味で写真撮ってた頃に使ってたKonica Big miniってカメラを貰って。調べたら、HIROMIXが使ってたヤツだ!みたいになって。

それで撮りはじめたんです。学校でも2年生で暗室の授業とかあって、面白いなあって思うようになってきましたし。

で、けっこう友達を撮ったシリーズも溜まってきてて、周りの友達も「庸子、この写真良いじゃん」とか言ってくれるようになって。それで、こういうのって私の周りの生活だけど、ぜんぜん私を知らない人がこの写真を見たらどう思うんだろう? と思い始めて。

評価されたいっていうんじゃなくて、純粋にどう思われるんだろう? って知りたくて、それで、2年の時に写真新世紀に応募したんです。

 

え? そんなすぐだったの?(漫画で言うと第2話くらいのとこだよ?)

はい。しかも誰にも相談しないで。誰にも応募したこと言わなかったし。「なに? お前写真でやってくの? 」みたいな事言われたくなくて(笑)。自分で応募したんですけど、そしたらキヤノンから電話がかかって来て。

 

お? 優秀賞の??(佐内正史選ね)

いや。あー、私、作品を返却する住所を間違えてたなと。それで電話かかってきた」と。思ったんですけど。出たら、「優秀賞に選出されました」って電話で、そん時の私、やばかったっすよ。「大丈夫ですか? (私で)大丈夫ですか? 」って。

 

お前が大丈夫か? って感じ?

そう。「え? 5人のヤツですよね? 」って感じで。ほんとそっからです。写真始めたのは。最初なんも考えてなかったけど、これから色々考えなきゃなって思ってて。やっとそこなんです。やっと。

 

草野庸子 個展『Fine』より

草野庸子 個展『Fine』より

 

好きな写真家って誰かいる?(出た、キングオブベタ質問)

うーん。誰かなあ。

 

最初のヒーローは?(なにこの質問)

Terry Richardson。ハイブランドのファッション写真とか、ストリートな感じも、どっちもできてて。すごい良いなあって思ってて。

 

今は?

今でもテリーは好きですけど、ティルマンスとか、スティーブン・ショアとかも良いなあって思ってます。

 

日本人では?

やっぱりHIROMIXは好きで、長島有里枝さんは好きですね。でも最初に写真集を見てたのはアラーキーなんですよ。

 

最近気になる写真家いる?

うーん、『fashionsnap.com』で私の次くらいの回にインタビューされてた小林健太とか。昔から渋家つながりで知ってたけど。誰かが彼の事を「コバケンこそが今の時代でいうHIROMIXでしょ」みたいな事言ってて。「たしかになあ」と。私と全然違う事やってて。アナログとデジタルって感じだし。デジタルを加工してみたいな。

それが写真なのか? って言われるとよくわかんないけど。私にとっての写真とは意味が違うかもって。

 

それ聞きたいなあ。草野庸子さんにとって写真って?(思いつき&漠然の極北だな)

私の写真の入り口が家族アルバムっていうか家族写真だったんで。家族写真的なものがすごく好きっていうのが最初にあって。その瞬間を切り取って真空パックに閉じ込めてるみたいなイメージです。

自分の家族写真でも他人の家族写真でも、その時の温度とか、匂いっていうか、こういう感じだったんだろうなとかがわかる家族写真ってあるじゃないですか。そういうのがすごい好きで。私にとっての写真って、そういう家族写真的なものだと思います。

 

今やってみたいとか、次撮りたいのあるの?

知らない人とか、知らない場所を撮ってみたい。写真新世紀の時とか、自分の周りだったんで。知らないとこで、自分を知らない人を撮るって、コミュニケーションを始めるところからって感じで、自分でも自分がそこでどういう写真を撮れるのかわからないから、やってみたいですね。今までだいたい友達だったから。友達だったからこういう表情が撮れたのかなって。

 

撮ってみたい人っているの?

クロエ・セヴィニー撮りたい。好き。

 

そして、他にも色々聞いたけど、途中からビール飲んじゃって、俺がなにを聞いてるのか聞き取れないから、また次回。まだ1993年生まれ、20代前半の若い世代の写真家。今後の活動が益々楽しみであります。

statement2

特になし。

 
草野庸子 YOKO KUSANO
1993年生まれ 桑沢デザイン研究所卒業
2014年度Canon写真新世紀優秀賞受賞(佐内正史選出)
 
 
 

information

草野庸子「Fine」
2016年2月13日~2月27日
MANHOODギャラリースペース (南青山)
東京都港区南青山3-10-12 B1F
TEL : 03-6432-9775
OPEN : 12:00-21:00 (土日・祝日:11:00~20:00 )
月曜休廊
http://manhood.jp/
 

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。

ページ上部へ戻る